前集116 素晴らしい才能、清廉潔白な心得は、周囲に隠すように

前集101-120

起 原文

藏巧於拙 用晦而明
寓清之濁 以屈為伸
真渉世之一壷 藏身之三窟也

巧を拙に蔵し、晦を用いて而して明らかにし
清を濁によせ、屈を以って伸と為す
真に世を渉るの一壷、身を蔵すの三窟なり

蔵し、かくすこと、人に見せぬこと;晦(かい)、才能などをくらますこと;一壷(いっこ)、口のすぼんだ、腹の膨れた瓶。流れの中にあっては浮き輪と同じく命を救う道具;三窟(さんくつ)、安全な隠れ家

承 意訳

本当は功名な才能があるのに表面上は拙いふりをして、才能をくらまして他人に示さないところが奥ゆかしい

清廉潔白な節義を持っていても、表面上は俗世に身を寄せ、周囲に屈するような姿勢であっても、それは将来伸びるための態度です

このような態度がこの世を渉るに当たって救命道具となり、身を隠すことができる安全な隠れ家となります

転 別視点

素晴らしい才能、清廉潔白な心得は、それを主張すれば他人からの不評を買います。正しいことは、知らず知らず表面に現れてきます。だからこそ、少し隠すくらいがちょうど良いのです。

アメリカ社会では、自分の能力をアピールすることが必須の社会で、アピールがなければ能無しの烙印を押されます。しかしながら、その習慣を下支えするのは能力を発揮すれば、社会の発展、周囲の幸せにつながるからなのかもしれません。

古代中国の官界も、日本の官界も、狭い社会においては、特定の人物の出世は、周囲の人の脱落に直結します。そのような社会では、他人の才能は自分の不幸に直結します。狭い世界は、人を卑屈にします。

結 まとめ

素晴らしい才能、清廉潔白な心得は、少し隠すくらいがちょうど良いのです。

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