後集070 小さな執着心を捨て、大きな視野を持つ

後集061-080

起 原文

寵辱不驚 閒看庭前花開花落
去留無意 漫随天外雲巻雲舒
晴空朗月 何天不可翺翔 而飛蛾獨投夜燭
清泉緑卉 何物不可飲啄 而鴟鴞偏嗜腐鼠
噫 世之不為飛蛾鴟鴞者 幾何人哉

寵辱に驚かず、閑かに庭前の花開き花落つるを看る
去留に意無く、漫ろに天外の雲巻き雲舒ぶるに随う
晴空朗月、何れの天か翺翔すべからく、而るに飛蛾は独り夜燭に投ず
清泉緑卉、何れの物か飲啄すべからく、而るに鴟鴞偏えに腐鼠を嗜む
噫、世の飛蛾鴟鴞と為らざる者、幾何人ぞや

漫(そぞ)ろ、ただ;翺翔(こうしょう)、鳥が自由に飛び回ること;飲啄(いんたく)、飲み食べる;鴟鴞(しきょう)、フクロウ

承 意訳

寵愛を受けたり辱めを受けても驚くことはない、庭の花は静かに花開き花落ちます
(周囲からの評判は自己の価値に関係ありません)

社会的地位を退いたり留まったりということに心動ずることはない、空の雲は巻いたり伸びたりと自由です
(周囲からの係りによって自分の自由を制限することはありません)

晴れた空に浮かぶ月夜には、生き物は大空を自由に飛び回ることができるのに、蛾は蝋燭の火に身を投じる
(小さな執着心が自分を破滅に追い込みます)

清らかな泉や緑の草花は、どれも美味しく飲んだり食べたりできるのに、フクロウはいつも腐ったネズミを食べる
(視野が狭いことはなんと愚かなことでしょう)

でも、蛾やフクロウの生き方と異なる生き方をしている人間は何人いるのだろうか
ほとんどいない・・・

転 別視点

前半の2段落と後半の3段落はまとめて一段落とする解釈と、2つの段落に分ける解釈があります
まとめた場合は、以下のような解釈もありかと思われます。

晴れた空に浮かぶ月夜には、生き物は大空を自由に飛び回ることができるのに、蛾は蝋燭の火に身を投じる
周囲の要素がどうであれ、いつもの自分を全うします

清らかな泉や緑の草花は、どれも美味しく飲んだり食べたりできるのに、フクロウはいつも腐ったネズミを食べる
周囲の価値観には関係なく、自分の価値観に従っています

ただこの解釈では、最後の嘆きの部分が一致しませんね。

結 まとめ

小さな執着心を捨て、大きな視野を持って、自分自身の人生を全うしたい

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