前集096 家人の過失には、穏やかに諭すように忠告する

前集081-100

起 原文

家人有過 不宜暴怒 不宜輕棄
此事難言 借他事隠諷之
今日不悟 俟来日再警之
如春風解凍 如和氣消氷 纔是家庭的型範

家人過ち有らば、宜しく暴怒すべからず、宜しく軽棄すべからず
此の事言い難ければ、他事を借りて隠に之を諷せよ
今日悟らざれば、来日を俟って再び之を警めよ
春風の凍りを解くが如く、和気の氷を消すが如し、わずかに是れ家庭的型範なり

諷(ふう)、ほのめかす;俟つ(まつ)、(期待して)待つ

承 意訳

家の中の者に過失があった場合は、荒々しく怒ってはいけません。さりとて、それを軽く見て放置してもいけません。

その事を直接言いにくいのであれば、他の事に託して、ほのめかすように戒めると良い。

今日すぐにその過ちを悟らなければ、後日時間をおいて再び言い聞かせると良い。

春の風が凍結を解かすように、穏やかな和気が氷を消すように、気長にゆっくりと、それが家庭的な解決法です。

転 別視点

聖徳太子の十七条憲法にある有名な言葉で「和を以て貴しとなす」という諺があります。目標が同じであるならば、言い争いはほどほどにして「仲良く議論しなさい」という意味です。これと同じ意味かと初めは考えました。つまり、家庭の中にあっては、更にもう一段階「和を重要視」するということかと。

ところが、この段落の家人は主人に雇われている人も含みますが、職場の同僚は含みません。となると、聖徳太子とはニュアンスが異なります。かえって逆に近い意味合いかもしれません。

職場では多少ギスギスしても目標の達成のためには言うべきことは言う。家内では、非常に密接な関係であり、和が一度壊れるとなかなか修復ができません。より近い存在に忠告を発するときは、より「和」を重要視するということかもしれません。

結 まとめ

家の中の者に過失があった場合は、穏やかな言葉で、ゆっくりと諭すように、時を選びながら忠告します。

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