前集166 道徳の実践に励み、守銭奴にはならないように

前集161-180

起 原文

勤者敏於徳義
而世人借勤 以濟其貧
儉者淡於貨利
而世人假 儉以飾其吝
君子持身之符 反為小人営私之具矣
惜哉

勤なる者は徳義に敏む
而して世人は勤を借りて以て其の貧を済う
倹なる者はは貨利に淡し
而して世人は倹を仮りて以て其の吝を飾る
君子、身を持するの符、反って小人の私を営むの具と為る
惜しいかな

敏む、つとむ、励む;吝(りん)、もの惜しみをすること。けちなこと;

承 意訳

勤勉なる人は、徳を積むことに精をだします

しかしながら、世間の人は勤勉という名前を借りてお金持ちになることに励みます

倹約する人は、金銭に無頓着です

しかしながら、世間の人は倹約という名前を借りてケチであることをごまかします

君子にとっての自分の身を保つための「勤と倹」は、世間の人にとっては私腹を肥やすための道具となっています

残念です

転 別視点

本来は良い意味である言葉も、少し解釈を変えると非常に世俗的な意味に変わってしまうことを嘆いています。

2021年は「ネガポ辞典」という言葉が流行しました。“ネガティブ思考”をポジティブに変換する用法・言葉の解説を集めた辞書です。

世俗の人にとっては、聖人君子のお決まりの言葉(勤と倹)を馴染み深く、自分の流儀に合わせた解釈に変更することは、自分を正当化する変換です。(聖人君子の価値観にて)ポジティブな意味をネガティブに変換します。ポネガの解釈はやめましょうと言っている段落です。

結 まとめ

「勤」は道徳の実践に励むことで、「倹」は金銭に執着しないことです。正しい意味を知り、勤と倹に励みましょう。

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