前集032 世俗的な活動は徒労、多弁は騒々しい上に無駄

前集021-040

起 原文

居卑而後知登高之爲危
處晦而後知向明之太露
守静而後知好動之過勞
養黙而後知多言之爲躁

卑き(ひくき)に居りて、しかして後に高きに登るの危きたることを知り
晦き(くらき)に処して、しかして後に明るきに向うのはなはだ露るることを知り
静を守りて、しかして後に動を好むの労に過ぐることを知り
黙を養いて、しかして後に多言の躁たるを知る

承 意訳

低い地位の人が、高い位置に登ってみると、その地位がとても危うき立場であることがわかります。高い位置のままでは理解できません。

暗いところにいて、その後で明るい場所に向かうときは、その全てのものがとても明瞭に現れることに気づきます。

静寂なところにいて、その後で世人が好んで俗事に齷齪(あくせく)と働いていること(昇任のための小細工など)を見れば、いかに徒労であることがわかります。

沈黙を守っていて、その後で世のいわゆるおしゃべり(お世辞を並べるような言葉)を見れば、いかにその言葉の馬鹿馬鹿しく騒々しいことかが分かります。

前半部分がわかりやすい例で、後半部分が本当に述べたい内容です。

転 別視点

今生きている環境に慣れてしまえば、その環境が多少ヘンであっても気づかないことがあります。一度、別の環境に移動して新たな視点で今の環境を評価すれば新しい発見があるかもしれません。

過酷な労働条件で働きずめであった人が、リストラされ閑職に異動になりました。その人は給料は減りましたが、人間らしい生活を取り戻した(元気になった)、という話をよく聞きます。

私を含め小心者には転職はハードルが高いです。なので実際に異動しなくても、新たな環境に存在する自分をできるだけ具体的にイメージして、今何かがおかしくないかを時々振り返ると良いのかもしれません。

結 まとめ

世俗的な活動ばかりを好むのことは徒労になります。多弁は騒々しい上に無駄なことが多いです。

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